「同じ仕事をしているのに、なぜか給料が下がった」。
こちらはシニアの整備士の方から、特に多くいただく声です。
長年の経験を積み重ね、技術も磨いてきたにも関わらず、なぜ収入が減ってしまうのか。
まずは、その実態をデータで見ていきましょう。

この記事の監修者
Sendai Kyozo
自動車業界特化のキャリアアドバイザーとして、多くの整備士のキャリア相談、転職支援を実施。目先の転職ではなく、ありたい姿から逆算して行う最適なアドバイスに定評。
所持資格:2級キャリアコンサルティング技能士(国家資格)
令和7年度版 自整業の経営・給与データブックによると、ディーラー勤務の整備士の平均年収は50代前半の約583万円でピークを迎えます。
その後は、年代が進むにつれて平均年収は減少していき、60代前半の平均年収は約475万円にまで落ち込みます。
50代前半と60代前半を比べると、その差は約108万円。これが、多くのベテラン整備士が直面している現実です。
なぜ60代で年収が大きく下がるのか
一番大きな原因としては、再雇用制度にあります。
多くの企業では60歳を定年として、その後は以下の3つの契約パターンに分かれます。
1.契約社員(最も一般的)
2.嘱託契約
3.パート・アルバイト契約
これらの形態で再雇用契約を行うと、「働き方」や「実務で発揮する経験・技術」が同じでも、「基本給の低下・各種手当の見直し」で年収が大幅にダウンしてしまいます。
私がこれまで転職支援させていただいた50代後半~60代前半の方も、「今の給与だと老後が不安」「年収がどこまで下がるのか不安」という共通した悩みが多くありました。
加えて、「給与が仕事量に見合っていない」という経験と技術があるベテランだからこその、転職の相談も最近増してきています。

年収を維持・アップするための3つの方法
そこで、50代・60代の整備士が年収を維持するには、どうすれば良いのか考えてみましょう。
ここでは、3つの基本的な方法をご紹介します。
1.再雇用を待たず転職する。
定年後の再雇用による年収の見直しより前に、定年前の早い段階で条件の良い企業に転職する方が合理的です。
現在、整備士業界は深刻な人手不足であるため、即戦力で経験もあるベテラン整備士を数多くの企業が求めています。そのため、より早い時期に新しい企業に転職することで、より良い条件で働く期間を確保することが出来ます。
2.派遣・業務請負の業務形態になる。
派遣・業務請負の整備士は、特に経験や技術が評価されやすく、正社員時代と同等かそれ以上の時給を得られるケースも多くあります。
一番大きな理由は、企業側の「雇用のリスク」を抑えられることで、その分を技術に応じた適正な報酬として受け取ることが出来ます。
3.エージェントを活用した提案・交渉をする。
定年後も正社員としての雇用延長がある企業を紹介してもらえるほか、自分では言いづらい希望年収についても担当者が企業との間に立って交渉します。
カーワクシニアでは、自動車業界に精通したアドバイザーが求職者の市場価値を正確に把握した上で、適正な給与での転職をサポートしております。

転職エージェントを利用し年収アップした実例
ここで、実際に年収アップを叶えた方の例をご紹介します。
長年ディーラーで整備士として働いたAさん(仮名)
60歳で再雇用となった際、基本給が大幅に減少。そして、検査員資格を持っていたにもかかわらず、各種手当の見直しで検査員手当が給与に反映されなくなる。
そのような状況の中、「業務に見合っていない給料への不満」、そして「このままの給料では老後が不安」という思いを抱え、当社の転職相談に来られました。
その後、転職の面接の際に「今までの経験・検査員資格」をアピールしたところ、資格手当のある企業から正社員としての定年制なしの好条件のオファーを受け、元々再雇用で提示されていた年収より80万円以上アップして転職を決めました。
つまり同じスキル・経験を持っていても、それを正しく評価してくれる企業に移るだけで、収入は大きく変わるということです。
まとめ
50代・60代の整備士にとって、年収の低下は避けて通れない課題に見えるかもしれません。
しかし、働き方改革と整備士業界の人手不足から考えても「今の給料で我慢するしかない」という時代ではありません。
長年培った技術は、正しく評価してくれる場所を選べば、しっかりと収入に反映されます。まずは今のご自身の市場価値を知ることから始めてみてはいかがでしょうか。